ソン・ジュンギが明かす、ヴィンチェンツォ出演秘話「僕にコメディができるだろうかと思ったが…」
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いつも優しく、純粋な演技を披露していた俳優のソン・ジュンギが、あくどく冷酷な姿を見せてくれた。視聴者も共演の俳優も見慣れないだろうが、新たに登場した悪役は、ただただ見ていて楽しかった。
tvN 土日ドラマ『ヴィンチェンツォ』主演ソン・ジュンギは、放送終了に関するオンラインインタビューに答えてくれた。
同作日は、組織の裏切りで韓国に来ることになったイタリアマフィアの弁護士ヴィンチェンツォ(ソン・ジュンギ)が、ベテランの冷血弁護士ホン・チャヨン(チョン・ヨビン)と共に悪党のやり方で正義を貫く物語を描く。
『ヴィンチェンツォ』の最終回の視聴率は、首都圏基準で平均16.6%、最高18.4%、全国基準で平均14.6%、最高16.2%を記録し、自己最高を更新して地上波を含む全チャンネルで同時間帯1位を席巻した。全国世帯基準では、歴代tvNドラマの視聴率6位に該当する記録だ。tvNのターゲットである男女2049の視聴率でも、首都圏基準で平均9.1%、最高10.2%、全国基準で平均8.7%、最高9.7%、自己最高を更新して地上波を含む全チャンネルで同時間帯1位を守った。(ニールセンコリア基準)
ソン・ジュンギは、ドラマの中でヴィンチェンツォ役に扮した。ヴィンチェンツォは、イタリアマフィア“カサノ・ファミリー”のコンシリエーリ(顧問弁護士)だ。彼は冷酷な戦略家であり、完璧なポーカーフェイスの所有者で、不意をつく方法で仕事を処理する最高の弁護士だ。
本格的なインタビューに先立ち「ドラマが放送されるたびに家族や現場の若いスタッフに話題のシーンについて聞き、人気を実感しました」と『ヴィンチェンツォ』に対する熱い反応に感謝を伝えた。
ソン・ジュンギは今回の作品を通じて、デビュー後初めて悪役を演じた。『ヴィンチェンツォ』が特別な理由は、単に悪役だからといって悪いだけではなく、コミック、ノワールなどさまざまな要素が混ざっていたからだ。さらに、主に良い役を多く演じてきたソン・ジュンギだけに、彼の見慣れない姿がさらに新鮮に映った。
「実は『ヴィンチェンツォ』の台本を受け取った時、“僕がこれをできるだろうか”と思いました。特にパク・ジェボム作家の作品は、コミックに特化したイメージが強いです。“僕にコメディができるだろうか”と思ったのですが、幅を広げようと様々なジャンルを生かすため努力しました」
彼はドラマの中でイタリアマフィアを演じたため、イタリア語を駆使しなければならなかった。これには多くの困難を感じたという。ソン・ジュンギは毎回演技に対する称賛を受けたが、自らのイタリア語とコミック演技には満足していないと打ち明けた。
「もう少し長い時間準備していたらマシだったと思います。時間をかけた分だけ演技に現れるというので、残念だという思いもありました。最初にヴィンチェンツォをイタリア南部の人と設定したのですが、中部に変更しました。この過程で発音をとるのが本当に大変でした。ディテールさを大切にしようとしましたが、イタリア語の演技とコミック演技には納得していません」
ソン・ジュンギが演じたヴィンチェンツォは、本当に多くの人と様々な関係を持った。真っ先に言及される人物は、チョン・ヨビンだ。チョン・ヨビンがドラマの中で演じたホン・チャヨンは、ヴィンチェンツォと同調関係からロマンスに発展していく。しかし、二人のロマンスは視聴者の間で賛否両論が起こるほど熱かった。ヴィンチェンツォとホン・チャヨンのロマンスはドキドキすると言う一方で、ドラマに対する没入度を妨げるという意見も存在した。
「ロマンスに好き嫌いがある事実は知っています。僕は個人的に様々な意見がある方が好きです。意見があるのは愛されている証拠だから、個人的には賛成派です。本当に適切だったと思います。特に20話のエンディングでホン・チャヨンとヴィンチェンツォが再会しますが、表情からは別れが見えます。この時、僕は“もう一度付き合うのは難しい”という気持ちで演技しました。ラブラインは適切でした」
また、彼はヴィンチェンツォの母親オ・ギョンジャ(ユン・ボギン)ともいいケミ(相手との相性)を見せている。オ・ギョンジャはドラマの中でチャン・ハンソク(=チャン・ジュヌ、オク・テギョン)によって無惨に殺害される。この事実を知ったヴィンチェンツォは憤慨し、悪人の元を訪ねて銃を向ける。このシーンの表情演技は、視聴者の感情を引き上げたほど深い悲しみを持っていた。
「元々、台本では“悲しみを我慢する”程度でしたが、僕にはできず、思わず涙を流していました。作家と監督が僕の感情を尊重してくださったので、そのまま撮影を続けました。これは本当に記憶に残っているシーンです」
ソン・ジュンギは『ヴィンチェンツォ』が人生作であり、人生キャラクターだと自評した。彼は「今まで演じてきた作品には申し訳ないですが、最高に楽しく演じたドラマです」とし、『ヴィンチェンツォ』に対する愛情を口にした。
ドラマの中ではヴィンチェンツォのほかにも悪人が存在する。バベルグループの会長チャン・ハンソク、弟チャン・ハンソ(クァク・ドンヨン)、法律事務所ウサンの代表ハン・サンヒョク(チョ・ハンチョル)、法律事務所ウサンの弁護士であり、チャン・ハンソクの右腕チェ・ミョンヒ(キム・ヨジン)がいる。ソン・ジュンギは全20話の撮影中、4人の内のどの悪役を演じてみるか悩んだことがあるという。
「毎回4人を見ながら考えていました。どの役を演じたらいいか悩んで、ヴィンチェンツォでなければ、チェ・ミョンヒを演じてみたいと思いました。チェ・ミョンヒこそ現実にいそうな悪人です。(キム)ヨジンさんは演技が上手かったので僕も見ていてとても楽しかったですが、一回演じてみたいです」
実は『ヴィンチェンツォ』には、釈然としない論争がいくつか存在した。すべての復讐が私的な復讐だったが、20話のエンディングは週末の夜に視聴するドラマにしては残忍なレベルだった。それでも人気を得た『ヴィンチェンツォ』。ソン・ジュンギは、このような現象を喜んでばかりいられないと語った。
「ヴィンチェンツォは極悪非道な悪人です。そんな人が応援されること自体が悲しいことです。パク・ジェボム作家の文章は、見た目は面白くてもよく見ると悲しいジャンルです。『ヴィンチェンツォ』のエピソードは現実であり、ヴィンチェンツォというキャラクターだけはファンタジーだと思います。現実にはこれよりも悪いことがたくさんあります。作家さんが現実に起きたことを引用して悪人を討つところを見せてくれました。この部分でたくさんの方が気に入ってくださったのだと思います」
また、ソン・ジュンギは20話のエンディングの残酷性について「20話の台本を貰った時に僕らの間でも意見が分かれました。だから、さまざまな意見があると思います」とし、「僕は残酷ではないと思います。極悪非道な人がどのように処断されたのか見せなければならないからです」と説明した。
また、『ヴィンチェンツォ』には“中国のビビンパ間接広告論争”も存在した。ヴィンチェンツォとホン・チャヨンがご飯を食べるシーンでビビンパが登場。このビビンパは、自嗨锅(ZIHAIGUO)ブランドのインスタント食品で、中国の商品だった。放送当時、中国の韓国文化公正問題が深刻化していた時だったため、『ヴィンチェンツォ』の中国PPL論争は大きくなっていった。
「俳優の立場で一緒に相談できたら良いなと思いました。ドラマの中身というよりも外側の部分で論争が起こったので、中身の完成度を高めるために努力しました。(論争によって)失望した方がいらっしゃったら、その失望を取り戻すためドラマ自体の魅力で信頼を得ようと思い、撮影に集中しようと努力しました。間接広告論争のせいで失望された方には、主演俳優として謝罪するのが正しいです」
ソン・ジュンギがドラマに出演して話題になった部分は、KBS 2TVドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』のヨリムだ。『成均館スキャンダル』は朝鮮時代、女性禁止の空間、成均館で行われる4人の成長メロドラマで、ソン・ジュンギはヨリム役で活躍した。これはソン・ジュンギの“人生キャラクター”と言われる作品だ。『ヴィンチェンツォ』にソン・ジュンギがヨリムで登場し、視聴者の思い出を再び召喚した。
「最も愛情深いキャラクターがヨリムです。作家さんがそのイメージをとてもそっくりに召喚してくださいました。“どうやってこんなこと考えたのだろう”と思いました。以前、(パク・ジェボム)作家さんが『コメディが最も大きく成功する時は、権威ある人が壊れた姿を見せる時』と言っていました。ヴィンチェンツォがヨリムを演じて悪人を倒す時、鳥肌が立ちました。また会えて嬉しかったです」
また、ソン・ジュンギとチョン・ヨビン、そしてクムカプラザファミリーは一緒にtvN『出張十五夜』に出演した。『出張十五夜』は、出張が必要な場所にナ・ヨンソクPDが赴き、バラエティ配達サービスを提供する番組だ。『出張十五夜』と『ヴィンチェンツォ』の出会いは、ソン・ジュンギの要請で行われた。彼は新型コロナウイルスによって会食を一度もできなかった『ヴィンチェンツォ』の出演者と、意味深い思い出を作りたくて推進したと説明。
「その日、先輩方や同僚の方々と盛り上がることができて面白かったです。ナ・ヨンソクPDは忙しいのに来てくださいました。最後の撮影になるとドラマの現場は時間との戦いですが、みんなで一緒に終わりたかったです。そのため、該当の番組を思い出してウサンとバベルグループの人も一緒にと思いましたが、スケジュールが合わなくて実現できませんでした。その部分は残念でしたが、本当に面白かったです」
『ヴィンチェンツォ』で一風変わった演技を見せたソン・ジュンギは、新型コロナウイルスによって撮影が中断された映画『ボゴタ』の撮影を続けていく予定だ。『ボゴタ』は1990年にコロンビアに移住し、定着するために熾烈な人生を生きる人々の物語を描く。彼は「『ボゴタ』の撮影が韓国で再び始まります。海外で撮影することはできませんが、主演俳優として何とか作品を創り上げたいです」と伝えた。
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