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目次
聖水
ホットプレイス
路地ブーム
住民たちの反応は?




聖水

ソウルは漢江を基準にしてカンナム(江南)とカンブク(江北)に大きく二分されています。

江南方面にはカンナムやチャムシル、南西部にはモクトン(木洞)などの新市街地が広がっていますが、北側には西はシンチョン・ホンデなどの学生街から東はハニャン(漢陽)大学やコングク(建国)大学などの大学が多く集まっています。

そんな漢陽大学と建国大学の中間くらいにあるのが聖水と書いて성수(ソンス)と読むエリアで、ここ数年で大変身を果たしています。今日はその辺を見に行ってみましょう。

そもそもソンス駅周辺のソンス(聖水)洞は金剛(금강/クムガン)製靴という靴メーカーと共に成長した手作りシューズの街でした。

2019年には文前大統領が訪れて長年の手製靴産業を絶やさないために激励したりするなど、根っからの靴の街だったのですが、担い手がどんどん減り、空き工場やテナント募集の売り場が目立つようになっていました。そこに目をつけたのが韓国のMZ世代を顧客層にとりこもうと狙った人たちだったのです。

ホットプレイス

2号線ソンス駅の3番出口を出るとそこには수제화거리(スジェファゴリ/手製靴通り)が皆さんをお出迎えしてくれます。そこを南に進んで行くと目に入って来るのは、なぜか哀愁を感じてしまう赤レンガの建物です。

実際にこの奥の建物「대림창고(テリムチャンコ/テリム倉庫)」は今はギャラリーカフェとして運営されているのですが、もともとは90年代まで物流倉庫として実際に使われていた空間をそのまま生かしてカフェ空間として生まれ変わりました。

ひと昔前だったら、韓国の人の多くが近代文化遺産に対して持っていた認識は「古くて捨てるべきもの」という低評価なものだったので、そのまま解体されてピカピカのガラス張りの高層ビルに生まれ変わっていたところですが、この頃は、最近のレトロブームと相まって、近代文化の古風な感じがカッコいいという意識が広がっていて、取り壊されずにそのままギャラリーカフェとして残されることになりました。

それと合わせて手前には「아더 스페이스(アド スペイス/ADER SPACE)」というファッションブランドも新たに建てられました。が、町の雰囲気と同じ赤レンガ風の建物になっています。このブランドは他の店舗も赤レンガの建物で、ここはちょうどソンスともピッタリな感じですね。

ここは店内に入るとまるで別世界が繰り広げられています。スペースという単語からも分かるように宇宙的な要素が組み込まれていますので、ぜひ韓国へお越しの際は、中にも入ってみてください。

一方、手製靴通りとソンス駅を挟んで反対側の2番出口を出たエリアにもオシャレカフェが密集しています。こちらも古い工場地区が少しずつ変わってきていました。

こんな感じで古めかしい町工場がたくさんあつまっていて、道を間違えたかな?と思ってしまいそうですが、その道を奥へともう少しだけ進んでいくと、やはり一見古びた建物が現れます。

何やら人だかりができていますよね。

こちらは「onion」というカフェなのですが、あいにくこの日はお休みだったようで、集まっていた人たちも他のお店を検索しているようでした。そしてそのすぐ右隣りを見ると…

こちらのBOTBOTBOTカフェが待ち構えています。

三角屋根の物流倉庫だった空間を利用したカフェで、こちらの特徴はコロナ禍の流れとも相まってか、人ではなくロボットがドリップコーヒーを入れてくれるところでしょう。

日本にもこういうお店はあるのでしょうか?

このように人件費を抑えることもあるのでしょうが、韓国は日本と違って最低賃金が全国統一で決められています。しかも労働組合の力が韓国は非常に強いので、来年2023年の最低賃金が今年よりも5%も上がって時給にして9620ウォンと決まりました。

ド田舎のコンビニでも、大都会の慌ただしいカフェでも、この最低賃金は変わりません。ですので、流動人口が多いような所ではテナント料がそれだけ高くなるので人件費を減らしつつも、物珍しさでお店に見に来るような若い世代を取り込もうという事で、このようなお店が少しずつ増えているように感じます。

実はカンナム駅の地下街にもこのようなロボットが自動でコーヒーを入れてくれるカフェブースが登場しました。

でも実際に注文している人はほとんど見かけず、オシャレなカフェなら雰囲気も味わえてロボットのコーヒーショーも見れて楽しめるかもしれませんが、ただテイクアウトでコーヒーを飲むだけなら、わざわざロボットが入れてくれなくてもコンビニでも美味しいコーヒーは売っているので…ということなのでしょうかね。

路地ブーム

さて、ソンスに話を戻しますが、最近はどこも路地ブームのようです。

ここは1階に食堂やレストランが集まっている通りで、夕方にはこのように順番待ちの人が大勢並んでいる姿を見ることができます。

蕎麦や焼き肉、パスタ系などお店の種類も様々です。でもどこも両列ができていて基本30分以上は待たなければなりません。

こちらのカムジャタン屋は맛집(マッチプ/人気店)のようで、ひと昔前の韓国では考えられないくらに人が並んでいました。家族連れだけではなく、カップルも多くて、カムジャタンはデートコースの食事にもなり得るのだなあと改めて感じさせられますね。

そしてあちこちに登場したのが、このような壁画です。

カップルや女の子同士のグループだけではなく、男の子同士でも写真を撮り合っているほどに人気がありました。いわゆる人生ショットを写真に収めるために並んでいるんですね。

こちらのSEOUL ANGMUSAE(ソウル エンムセ)カフェもフォトスポットでもあり、不思議なカフェでもありますので、機会があればご訪問ください。

ただし、今はまだ人気なので、すごく待たされる可能性が高いので悪しからず。

またここに来たら、外観だけでも見ておきたいのがディオールです。

クロヤンはブランドに関心があまりないのですが、それでも写真を撮るためのホットスポットになっていたのでちょっと寄り道してきました。中には入らずに外から写真だけを撮ったのですが、その場にいた人のほとんどがクロヤンと同じ考えをしていたので민망하지 않았어요!!

売り上げにはつながら無いけどいいのかな?とも思いつつ、クロヤンのような人間でも「ディオール」というブランドを再認識したので、宣伝効果は抜群ですね。

さてさて、多くのカフェがある中にはこんな異色インテリアのカフェもありました。

が、お客さんはほとんどいませんでした。右端のお客さんも電話をしながら、あっちの席からこっちの席へと行ったり来たりしながら、どこに座ろうか悩んでいる様子でしたので、座ってはみたいけど、でもちょっと恥ずかしいとか思ったのでしょうかね。

クロヤンも勇気が出せずにトライできませんでしたが、はたして座り心地はいかがなものなのでしょうか。

住民たちの反応は?

ソンスのように、もともと工場地帯だったり住宅地だったところが人気になると、どうしても原住民(韓国語ではもともとそこに居住していた住人たちのことを원주민(ウォンジュミン)と表現します)との共生が問題になりますね。

こちらに住宅は1階というか半地下というか、そこがお店として運営されていたようですが、恐らくは建物のオーナーさんが儲かったから、立て直そうとしているのでしょう。壁には大きく「철거예정(チョルゴイェジョン) 撤去予定」と赤と白スプレーで書かれていました。

そしてお隣の建物では2階がベールに隠された(って単なるカーテンですが)お店が佇んでいるなど、新旧が隣り合っているというのか、せめぎ合っている状態です。

さらには一方通行の道路を挟んでも、どこも1階はほとんどが飲食店になっていました。

ときどき訪れる観光客は楽しいでしょうが、ここに住んでいる住民の人たちは毎日のように押し寄せてくる観光客に少し頭を痛めているのかもしれませんね。

このように2号線の建国大学のお隣の駅、聖水(ソンス)駅とトゥクソム駅周辺からソウルの森にかけてのエリアは今まさに生まれ変わりつつある地域です。秋には一面の紅葉も楽しめるソウルの森にもぜひお出かけになってみてはいかがでしょうか(^^



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