チョ・インソン インタビュー
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―ハン・ジェリム監督とはいかがでしたか?撮影分量が多いことで有名ですが。今回も、撮った分量に比べてカットされたシーンも相当多かったと聞きました。
僕は監督の方々とはあまり親しい方じゃないので、ハン・ジェリム監督に関する情報がありませんでした。だから偏見もなく、たくさん撮ったような感じもしませんでした。ワンシーンワンカットは多かったですけどね。
―軍隊に行くシーンを撮るため、髪まで剃ったらしいですね。
髪を剃ってから、様々な表情を試してみました。軍隊に行く前の男の憂鬱な顔から、楽な部隊に決まって嬉しい顔など、色々撮ってみた中から監督が選びました。
―それがたくさん撮ったという意味なのでは?
そうなるんですかね。僕は意外とよかったですよ、監督の指示が明確で。まずテイク1で正解を撮ってから、そのあと違うものを加えていく。嬉しい表情、憂鬱な表情、考えに耽る表情…。例えば僕が左遷されて絶望に陥った時、チョン・ウソンさんとペ・ソンウさんが訪ねてくるシーンがあります。車のヘッドライトに照らされる場面で、監督から『夢を見ているように演出してほしい』と言われました。注目が的確なおかげで演じやすく、監督にもそのシーンを気に入ってもらえました。
―チョン・ウソンさんとの共演はどうでしたか?
やはり、一緒にお酒を飲めたことがよかったですね。これぞ映画の妙味です。撮影が終わると部屋に集まって、監督や俳優方と飲み会をします。その日撮ったシーンから一喜一憂したり。そうやって一喜一憂できるのは俳優の特権だ、と誰かが言っていました。
―(チョ・インソンの役は)ヤクザのような目がポイントだそうですが、チョン・ウソンさんとペ・ソンウさんはキャラがはっきりしている反面、チョ・インソンさんは比較的表現しづらい役だったように思えるのですが、いかがでしたか?
非常にありがたい質問です。圧倒的に僕の登場シーンが多いです。キャラの魅力は初めからしっかり提示してこそ、映画の特性がはっきりします。でも『ザ・キング』はテーマ自体が重くて、それを違う形で伝えることが監督の意図でした。そうなると演技を軽くしろということになりますが、それをコメディーっぽくするべきなのか、そっけない日常のように表すべきか、色々悩みました。それが観客に果たして受け入れられるのか、重くなってしまいすぎるのではないか…。常に試験を受けている気分でした。その点では、テイク1で正解を撮ってから、少しずつ味を加えていく監督の撮影スタイルが好きで。おかげで立体的に表現できた気がします。
―(チョ・インソンの)友人でありボスの右腕役だった、リュ・ジュニョルさんはいかがでしたか?
リュ・ジュニョルさんは素晴らしい俳優です。台本を読んだ時、僕が新人ならぜひやってみたいと思った役に、監督がリュ・ジュニョルさんを候補に挙げた時、まさに適役だと思いました。『応答せよ 1988』のヒットもあって、興行収入にも期待できると思いました。リュ・ジュニョルさんの長所は淡々とした瞳です。無表情から様々な解釈ができる。僕だったら顔をよじらなきゃならない部分も、彼なら無表情のままで全てが伝わります。