映画『インサイダーズ/内部者たち』で腐敗権力の悪事代行をする“政治ヤクザ”アン・サング役で観客に強烈な印象を植え付けたイ・ビョンホンが、「第37回青龍映画賞」で主演男優賞を受賞した。
『哭声』のクァク・ドウォン、『密偵』のソン・ガンホ、『阿修羅』のチョン・ウソン、『トンネル』のハ・ジョンウを抑えて受賞の栄光を勝ち取ったイ・ビョンホンは、受賞スピーチで次のように語った。
「25年間演技をしてきましたが、主演男優賞は初めて頂きました。とても嬉しいですし、感懐深いです。一緒にノミネートされた俳優の方々はとても素晴らしい演技を披露してくださったので、自分自身の受賞はあまり期待していませんでした。頭が真っ白で…何を言えばいいか分かりません(笑)。感謝を伝えたい方が、大勢いらっしゃいます。『インサイダーズ/内部者たち』で共演したペク・ユンシク先輩、チョ・スンウさんをはじめ、素晴らしい映画を作るために苦労されたスタッフ。10年も前に新人マネージャーとして入社し、今では会社の代表となり、実の弟のようなソン・ソグ代表。嬉しいときも、悲しいときも、隣で力になってくれる妻のイ・ミンジョンさんと家族、愛しています。僕と共に年を重ねていくファンの方々、そして映画を愛してくださった観客の皆さん、すべての方に感謝します」
「シナリオを読んだときも撮影するときも楽しかったですが、一方では、社会問題を極端に描こうとするあまり、誇張しすぎてはいないかと不安に思うこともありました。ですが、結果的には今の現実(大統領のスキャンダル等の社会問題)の方が『インサイダーズ/内部者たち』を上回ってしまいましたね。所信表明のようになってしまいますが…(笑)、皆が一心になって、絶望的な気持ちでロウソクを持っている姿(※)、あれはいつか、希望のロウソクになると信じています。25年間考えてきた受賞スピーチを、これから青龍映画賞で少しずつ発表できるよう、頑張って演じて、この舞台に頻繁に上がれるよう、努力します」
イ・ビョンホンがスピーチを終えると、客席からは温かい拍手が送られた。
一方、イ・ビョンホンは現在、カン・ドンウォン、キム・ウビンと共演した映画『マスター』の公開を控えている。
※「ロウソク集会」、「ロウソクデモ」と呼ばれるデモのこと。日没後にロウソクに火を灯して参加者が集まることからそう呼ばれる。大規模なものでは2008年、狂牛病問題による米国産牛肉輸入再開反対に端を発し、約100日間デモが続いた。2016年10月末に始まった朴槿恵大統領の退陣を求める今回のデモは、毎週末のように行われながら、約100万人の市民が参加した。
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