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STAR INTERVIEW

パク・ジョンミン インタビュー

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パク・ジョンミン インタビュー

パク・ジョンミンが、『空と風と星の詩人 ~尹東柱の生涯~(以下、空と風と星の詩人)』に続いて『辺山(ピョンサン)』でイ・ジュニク監督と再びタッグを組んだ。いつの間にか彼は監督のペルソナ(※)となったように感じる。敗者、孤独、弱者、アウトサイダー、それでも希望を探す者。イ・ジュニク監督は『辺山』でのパク・ジョンミンをこのように設定した。

※「仮面をかぶった人格」を意味する言葉。映画でのペルソナとは監督の分身であったり、特定の象徴を表現する俳優のことを意味する言葉。

『辺山』はラッパーサバイバルオーディション番組『SHOW ME THE MONEY』で6回落選した無名ラッパーが、10年間帰ることのなかった故郷辺山(ピョンサン)に帰ることとなり、そこで繰り広げられる物語を描いた映画だ。パク・ジョンミンは、父と不仲になり故郷を忘れ去りたく、ラップで自分を表現したい青年ハクス役を演じ、前作『それだけが私の世界』とはまた違った挑戦をした。前作ではサヴァン症候群の天才ピアニストを演じた彼は、今回、ラップで自身を表現しなくてはならなかった。

―『辺山』に出演した理由を教えてください。

「面白そうだと思ったんです。シナリオを読むより先に監督から『こんな映画を企画している』と聞いて興味が湧き、シナリオをもらいに監督の事務所に行きました。そのときは『それだけが私の世界』を撮影しているときで、ストレスを感じていてすごく辛い時期でした。演技に練習にと悩みも多かったです。当時、監督にお会いしても映画の話はしませんでした。監督から『何がそんなに辛いの?』と聞かれて初めて、あれこれ話しました。その会話自体がヒーリングでした」

―ラップが加わっているというだけで、ありふれた物語ですよね。典型的なストーリーに見えないようにしなくてはいけない作品だったと思います。どんな点が違ったと思いますか?

「好感を持てる部分が多かったです。ちょっと変わった友人たちとのやりとりが一番魅力的でした」

―ラップはどうやって書き上げたのですか?

「元々レファレンスとしてだけあって、ラップはYankie兄さんが作業してくれました。『SHOW ME THE MONEY』1次、2次予選のラップを録音しておいて、3次予選のラップを準備することとなり、テーマが母についてでした。なので慎重に、ハクスの気持ちを一番分かっている僕が一度書いてみて、それを兄さんに見てもらうようにお願いしました。そしたらそれを評価してくださって、2次予選のラップ以外、僕の歌詞が採用されました。なので2次予選にだけ英語が入っていて、残りは英語が入っていません。韓国語でのラップも上手くできないのに、英語は辛いので」

―ヒップホップ映画『8 Mile(エイトマイル)』のような映画は参考にされましたか?

「好きな映画は本当にたくさんありますが、あえて観ませんでした。『辺山』とその映画たちの方向性や表現方法が全く違うので、変に影響されて今回の作品に傷をつけたらダメだと思ったんです。『辺山』はもう少し野暮ったいものだと考えました。僕がそういった映画の影響を受けてしまっていたら、本来の野暮ったさを監督のせいにしてしまいそうだとも思ったんです」

―監督がヒップホップに疎く、ジョンミンさんに全て任せたと思いますが、負担ではなかったですか?

「最初から監督はヒップホップを知らないだろうと思っていました。監督からも言われましたし。だからと言って、僕もヒップホップが好きなだけで、全く違う世界のもので分からないのは僕も同じでした。なので監督はほとんどをYankie兄さんに託しました。何より良かったのは、監督がヒップホップを知らないのに『それはこうで、これは違う』などと言われなかったことです。お陰で自由に出来ました。分からないところは分からないと言って、完全に信用して任せてくださいました」

―ラップはどう練習されましたか?

「撮影の3ヶ月前から練習しました。ですが、僕がラップが出来るといってもプロのようには出来ないので、主に感情とディクション(※)、発声に集中しました。ハクスのラップは流れるようなビートではなく、Nucksalさんの 『フィラメント』 のように、テクニックより自身をそのまま表現する方式だと思いました。

※朗読、演劇、声楽などにおける言葉の発音法

正直、ラップの練習は『それだけが私の世界』のピアノよりも苦痛でした。ピアノは僕のレベルも上がっていたとはいえ、さらに上手く見せる弾き方があったんです。ですがラップはそうはいかないので。好奇心だけで出来ることばかりではないんだなと痛感しました」

―全羅道(チョルラド)の方言はどうでしたか?

「そこまで難しくありませんでした。ソウルで暮らしてきた人間なので、ニュアンスだけ気を使えば良い感じでした。ハクスは寂しく、他人と交わることのできない人物だと思ったので、方言をそこまで使わないようにもしました」

―普通、父と不仲となって故郷を去った息子、ヒップホップをする敗者、こういったキャラクターは荒く表現されることが多いですが、そうではなかったですよね。どう違いを出そうとしましたか?

「出来るだけ典型的にならないようにするのが良いと思いました。相手によって反応を変えて、関係によって違う姿で映ることでもっとリアルさが出るだろうと思い、ハクスと僕自身が似たところも多かったので更にそうしようとしました」
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