ファン・ジョンミン インタビュー
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俳優ファン・ジョンミンは、映画『工作』で「第71回カンヌ国際映画祭」のレッドカーペットを踏んだ。2年前、ナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』が非コンペティション部門に招請されたが、彼は当時不参加だったため、今回が生涯初の「カンヌ国際映画祭」だ。
『工作』が世界に初めて公開された次の日、映画祭の「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ」でファン・ジョンミンと会うと、妙な違和感を感じた。タキシードで正装し、レッドカーペットで手を振りながら注目を浴びることが耐え切れないという感じだ。
しかし、『工作』の話をするときは違った。今年の夏公開を控えている『工作』は、1990年代中盤に“黒金星”というコードネームで北朝鮮の核の実態を暴いた安全企画部(スパイ活動を取り締まったり、また、そのためにスパイ活動のようなことをする機関)のスパイが、南北のVIP間の隠密な取引を監視することとなり、そこから繰り広げるストーリーを描いた、実話をモチーフとした作品だ。
ファン・ジョンミンはその主人公、黒金星役を演じた。前職がスパイの黒金星に直接会ったという彼は、全く感情の読めない黒い目が印象的だったようで、彼のその目が欲しいと明かした。華麗なアクションよりも重い緊張感をとった『工作』で、ファン・ジョンミンの目は、以前とはまた違っていた。
―カンヌの地に足を踏み入れた心境を聞かせてください。
「(釜山の)海雲台(ヘウンデ)のようです。正直言うと…僕はそこまで海外が好きではありません。韓国が好きです。食べ物が口に合わなくて、貧乏臭いですがカバンにコチュジャンを忍ばせてあります」
―ステーキにかけられるのでしょうか?
「ステーキは食べません(笑)」
―南北が対立していた時期を作り上げ、南北が和解ムードの中で映画の公開を控えています。心境をお聞かせください。
「撮影はものすごく慎重に行いました。核ミサイルが打たれるか打たれないかという状況でした。ですがいつの日からかそんな状況ではなくなり、ニュースを通して両国の首脳が対話する姿が、この映画の導線とすごく似ていて驚きました。これからはこの話をしても大丈夫だな、という感じで、肩の荷が下りました」
―当時、そこまで慎重になっていたにも関わらず、この映画を作ることとなったのは何故ですか?
「今も自分自身に語りかけることですが、人と人との出会いで、イデオロギー(その人の社会や人生に対する考え方、思想)などそういったことは必要ないんです。間違って教育され、騙されていたんだと気がつきました。そういった面を、観客の皆さんに伝えられたらと思い、この映画を作りたかったんです」
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