キム・ガンウ インタビュー
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映画『消えた夜』は、妻を殺害したある男の話だ。完全犯罪にて財力家の妻を殺し、内縁の妻との甘い時間を夢見た男だったが、一瞬にして崩れ去る。警察から、安置していた妻の死体が跡形もなく消え去ったという連絡を受けたのだ。殺害から数時間の出来事。全てのことがこじれ始め、疑問を持ち始めた男は、彼を手のひらで転がしていた妻が生きているような気さえもするように…。
キム・ガンウがその男性ジンハンを演じた。欲望に支配されるがまま財閥家に入り込んだ男。しかし、金が人生の全てではない事を悟ってしまった男の物語は、どこかキム・ガンウが出演した映画『蜜の味 ~テイスト オブ マネー~』を連想させる。だが、ジンハンも映画の中のキム・ガンウも、それとは全く違った。彼は国立科学捜査研究所死体保管室で起きた一夜の出来事で、完璧に見えた男性ジンハンの皮を剥ぎとり、危機のどん底を見せつけた。
―キャラクターを選んだ経緯を聞かせてください。
「世間から叩かれるような人物ですが、哀れみが感じられました。強く印象付き、選択するのにも時間が掛かりましたが、そこが選ぶきっかけとなりましたね。とはいえ妻を殺害したことから始まり、それがすぐに暴かれますし理由はどうであれ悪い奴に違いはないとは思いました。殺人に不倫…最悪ですね」
―限られた時空間で繰り広げられるストーリーを導いていかなくてはいけませんでしたね。
「簡単ではないだろうと思っていました。制作会社の方で、監督が作った短編を見せてくれました。田舎のネットカフェで繰り広げられるサスペンスストーリーだったのですが、すごく面白くて“これを作った方なら大丈夫そうだ”と思いました。
ですが、『一晩のうちに起こった』という部分が難しく、不安でもありました。そこで、キャラクターに入りきるために、疲れる生活を送ってみようと思いました。睡眠時間も短くしたりして、少しずつ疲れていく姿が見えるようになれば良いなと。何よりも寂しくあることが第一でした。口数も減らさなくてはいけなくて…と、そんなことをしていたら一瞬で過ぎていきました。撮影中は飽き飽きしていましたが、“いつの間にか終わっちゃったな”と思える、変わった映画でした」
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