キム・ジェウク インタビュー
(全3ページ)
キム・ジェウクは、目で語る俳優だ。多くの台詞で表現するより、深みのある瞳で観客と対話する。そんな彼が、今回は“痛み”をもった人物として、スクリーンに帰ってきた。キム・ジェウクは2002年のドラマ『お前の勝手にしろ』でデビュー。脇役として活動しながら、その顔を広めた。そして2007年、MBCドラマ『コーヒープリンス1号店』で頭角を現し、“イケメン俳優”として愛されるようになった。そんなキム・ジェウクが最近、小さな映画作品を通して、これまで見せなかった新しい魅力を披露している。
映画『他の道がある』(監督:チョ・チャンホ)は、お互い顔も名前も知らないまま人生の最期の瞬間を共に過ごすことにした二人の、痛ましくも美しい旅路を描いた作品。同映画でキム・ジェウクは、弱く、多くの傷を抱えた警察官のスワン役を演じる。
『他の道がある』は、2年ほど前に撮影された作品。公開までに時間を要し、2年ぶりに日の目を見ることになった。新作の封切りを控えたキム・ジェウクは、今どんな心境なのだろうか。
「映画を撮影してからもう2年ですか。映画の公開を待っていたというよりは、この2年は、映画を完成させる時間だったんじゃないかと思います。その間は海外の映画祭に行ったりしながら、監督が映画を完成させるのを隣でずっと見守ってきました。ただ、映画はきっと冬公開がいいなと思っていたので、冬の公開が決まってものすごく嬉しいです」
キム・ジェウクが引き受けたのは、幼い時に目撃した母親の死を、心の傷として持ち続けているキャラクター。自己憐憫に満ち、心の弱さゆえに自殺を決心する。このような傷だらけの心を持った人物の表現が容易ではないのは、想像に難くない。キム・ジェウクはどのようにスワンを理解して表現したのだろうか。
「スワンを演じるにあたっては、(演技の)技術より、とにかく彼の感情に合わせることが正しいと思いました。監督ともたくさん話しながら準備し、現場ではそうやって交わした会話を振り返って、常に疑問系で演じました。これでいいかな、台詞はこう言うべきかなって、常に自分を疑いながらの撮影でした。その自問自答の繰り返しで生まれたのが、今の映画人なんだと思います。大変な作業でしたが、結果的には、最も正しかったと思います」
(1/3ページ)