あらすじ
この話は1970-80年代を舞台にしている。私たちの記憶の中にまだ鮮明に残り息づいているあの時代。握りこぶし一つで貧しさを越え、誠実と忍耐、根気だけで最も急激な変化を成し遂げた時期-高速道路の開通、セマウル運動、浦鐵製鉄建設、国民所得100ドル、輸出100億ドル達成、西ドイツの鉱夫、看護婦の派遣、サウジ建設ブームなど、正に貧乏に打ち勝つために皆が熱心に走った躍動の時代である。文化面でも家父長的な保守的考えと女性の自我に少しずつ目が向けられるようになり、進歩主義がうずき始めた混同の時代…。仁川からそう遠くない島、三木島。
聡明な目に悲しみをいっぱい浮かばせてスオクが旅客船に揺られている。一ヶ月前、スオクの両親は夜中に仁川で開かれた教会の集会に参加したが、一人で待っているスオクが心配で無理に石橋を渡ろうとしたところ、押し寄せて来る川の水に飲まれて二人共亡くなってしまったのだ。さほど豊かな島での生活ではなかったが、慈愛に満ちた両親のもとで幸せに暮していたスオクはいきなり孤児になってしまい、頼る所を失ってしまったのだ。前から父親のように自分に良くしてくれた薬剤師のチョ・ビョンウの手に導かれソウルに出てきたスオクは、自分の実父だとは夢にも思わないままチェ・ミョンウクと出会うのだが…。