10日に日本公開がスタートした『パラサイト 半地下の家族』。
韓国でも話題となり、数々の授賞式で賞を受賞している同作品、果たしてどんな作品なのだろうか?
概要
(c)映画『パラサイト 半地下の家族』ポスター韓国の原題は『寄生虫』。
家族全員がニートであるギテク(ソン・ガンホ)家。長男であるギウ(チェ・ウシク)が、裕福な家庭パク社長(イ・ソンギュン)家にて募集していた、高給“家庭教師面接”のためにパク家に足を踏み入れることで始まる、ギテク家とパク家2つの家族の出会いが事件へと発展していく物語を描いた作品だ。
映画から見る「韓国超格差社会」
(c)映画『パラサイト 半地下の家族』スチール劇中、ギテク家の住まいは「半地下」。日本ではあまりお目にかかることのない「半地下」だが、韓国に行けばあちこちに存在する。
これは70年代、韓国ソウルへの急激な人口増加に伴い、以前までは「避難場所」として使用されていた「地下」が、住居として貸し出されるようになったことが始まり。だが、「地下」というのは外からの光もなく、環境が悪い。そこで、火の光が差し込む、少し地上に面している「半地下」物件が誕生したというわけだ。
対して劇中のパク家は、相反する豪邸に住んでいる。
(c)映画『パラサイト 半地下の家族』パク家
2つの家庭の格差。これが韓国社会の現状を表した「超格差社会」だ。
それを表す言葉として、「銀の匙をくわえて生まれた(裕福な家庭に生まれる)」という英語の慣用句を受けて作られた流行語がある。
スプーンの素材が貧富の差を示しており、財閥一族は「ダイヤモンドの匙」や「金の匙」、平均的な家庭は「ステンレスの匙」、貧困家庭は「土の匙」などと表す「スプーン(匙)階級論」が、2015年に話題となった。
現在も格差は広がり続け、大統領が変わってから「所得格差を縮小する」としたが、うまくいっていないのが現状だ。
韓国では連日首位
(c)映画『パラサイト 半地下の家族』スチール『パラサイト 半地下の家族』は、韓国にて公開が始まると、映画ランキングにて連日上位を記録するだけでなく、劇中の様々なパロディがウケ、ネット上でも熱風を巻き起こしていた。
映画を観た観客らは、映画に出てくるセリフを使い、
・「幸せは分けるほどに大きくなるじゃないですか」
・「この映画、計画があるんだな」
・「ジェシカ、一人娘、イリノイ シカゴ、先輩はキム・ジンモ、彼はこの人のいとこ」
など反応を見せ、盛り上がりを見せた。
(上記については、映画を観て確認してみてくださいね!)
受賞歴
(c)NEWS12019年5月に「カンヌ国際映画祭」にてパルムドール賞を受賞し、砲門を開いた同作品は、韓国映画史上初、来月2月10日(現地時間2月9日)にロサンゼルスで行われる「第92回アカデミー賞」にも、作品賞をはじめとし、監督、脚本、編集、美術、国際映画賞まで6つの部門の候補に名前を挙げている。
今月5日には「第77回ゴールデングローブ賞授賞式」で韓国映画初、外国語映画賞を受賞した。
「第92回アカデミー賞」にて『寄生虫』が作品賞を受賞した場合、非英語圏初の記録となる。
ポン・ジュノ監督について
(c)CJ ENMそんなヒット作を作り出したポン・ジュノ監督の腕は、学生の頃からすでに確証されていた。
1994年に初めて発表した映画『支離滅裂』は、監督が学生時代に作った独立映画だったが、バンクーバー国際映画祭、香港国際映画祭に招待され注目を集めることに。
2000年に公開した『ほえる犬は噛まない』は、監督の商業映画デビュー作となった。ここで監督の“マニア”(ファン)を量産。
2003年に公開した『殺人の追憶』は、監督の商業映画成功を成し遂げた作品。
その後も次々とヒット作をたたき出し、『グエムル-漢江の怪物-』、『母なる証明』など、一度は聞いたことのあるタイトルが監督の作品となっている。
今回の映画『パラサイト 半地下の家族』の人気要因について、監督は下記のように語っている。
「生きていると、お金持ちと貧しい人、両方をよく見る。(この映画は)日常的に見る光景が多い作品だから、入り込みやすいのだと思う。
ストーリーの展開を予測しにくかったという話をよく耳にした。これまでもお金持ちと貧しい人たちについては、他の映画やTVで多く取り扱っていた。だが『パラサイト 半地下の家族』は、ストーリーや表現方式が新しく感じられ、そこが良かったのだと思う」
世界的に知られる作品に
『パラサイト 半地下の家族』は、作品だけでなく、監督をも世界的に有名にさせた作品となった。
人気の火が消える気配のない同映画、皆さんも一度鑑賞してみてはいかがだろうか。
TOHOシネマズ渋谷、新宿、日本橋などで観ることができる。
<公式サイト>
http://www.parasite-mv.jp/
[この記事のコメント]
>>えっ‼️と驚きや、笑えるシーンもあり…結末はどうなるのだろう?ハラハラしながら観てきました。